全国的にシェアオフィスやシェアハウスなどが増えてきて、人となにかをシェアするということが世の中のキーワードになってきています。
現代の暮らしの中に、人との繋がりや新しいコミュニティの構築を求める人が増えているのではないでしょうか。
その流れは、大分でも例外ではありません。
そして今春、別府にも新たなコミュニティスペースが誕生することになりそうです。
今回おおいたリノ部屋に相談をしてくれたのは、立命館アジア太平洋大学に通うオ・ヒョンジくん(23)。
彼は民家をリノベーションし、学生の“やりたい”を実現する学生による学生のための「コミュニティスペース」を作りたいと熱い気持ちを語ってくれました。
なぜ大学生が新しいスペースを作ろうと思い立ったのか。彼が思い描く空間はどんなものなのか。
話を聞きに、舞台となるJR別府駅近くの一軒家を訪ねてきました。
天空の大学に通う大学生のために下界(別府市内)に溜まり場を作る!
別府市の天空と呼ばれる立命館アジア太平洋大学(APU)。
ここに通う学生たちは、下界である別府市内に勉強できるスペースや、ミーティングができる空間が少ないことに悩みを抱えています。
そこで、立ち上がったのがヒョンジくん。
無いんだったら作っちゃおう!
アイデアを思いつき一人で物件を探し歩いていた時に、偶然にもお世話になっている飲食店のオーナーさんから一軒の民家を紹介してもらい、その場で直感で即決。
「借りたからには始めなきゃ!」と友人と朝まで語り明かしながらコンセプトを練り、昨年11月、国際色豊かな17人の仲間たちとプロジェクトをスタートしました。
コンセプトは「やりたいことをやる。実現していく。」
学校にも企業にも頼らず、自分たちの力で動き始めたプロジェクトです。
いろんな方とコミュニケーションをとりながら進めていくうちに彼らが行き着いたのは、普通のミーティングや勉強ができる空間づくりではなく、学生の思いをカタチにする場づくりでした。
みんなが求めているミーティングや勉強ができる場所は僕たちがやらなくても、企業や学校が場所を借りてやれば良いんですよね。
僕たちが作るべきなのは学生の成長のためになる場づくり。
それで考えていたら、周りにやりたいことがある子が多いことに気づいて。
そしてその子たちのほとんどが実際カタチに出来ていないってことにも気づいたんです。
だから、ここは”やりたいことをやる場所”にする。みんなでディスカッションしたり、相談したりしながら実現に向けて進めていく場所なんです。
学生であるからこそ生まれる自由な発想。
それらを実現をしていくために、ここでは”否定をしない”ということも決まり事の一つです。
多様性に満ちているのがAPUの魅力。
だから僕たちはその多様性や自由さというのを大切にしたいと思っているので、人の意見に対して否定しない。
どうすれば実現可能になるのか、どうしたら面白くなるのか、ここではいろんな角度から実現に向けた方法を探していきます。
企業にはできないこと。学生だからできること。
APUの学生たちが持つ多様性や自由さを武器に、ここではどんなアイデアやチャレンジが生まれてくるのでしょうか。
最初の挑戦は、クラウドファンディングで資金集め!
コンセプトが決まり、夢の実現に向けて課題となるのは資金集め。
そこで彼らが用いた手段はクラウドファンディングでした。
クラウドファンディングの会社で半年間インターンをして、さらにAPUでもクラウドファンディングに挑戦する学生をサポートをするサークルを立ち上げているので、自分も使わない手はないなと思っていました。
講義のときに学生たちの前に出てプロジェクトの話をしたり、自らプロジェクトのバナーを作って、フェイスブックやインスタグラムを使って告知したり、いろんな人にお願いしてシェアしてもらったり。
努力のおかげで、急速に広まっていった彼らのプロジェクト。
そして昨年の12月27日に始めたクラウドファンディングは、1月31日までの約1ヵ月間で目標金額を達成。
127名の支援者から、136万7500円もの資金を集めることができたのです。
達成して思うことは、1にも2にも感謝しかないです。
自分たちじゃ到底集められないようなお金をいただき、やっとスタートラインに立つことができました。
たくさんの方から応援のメッセージもいただきましたし、いろんな方の思いを良い意味で背負えた。
想像以上に大変でしたが、それより得た経験は大きいですね。
まずは一歩、大きなチャレンジを成し遂げたヒョンジくん。
彼はこのプロジェクトを成功させることで、支援者への感謝とともに、ある思いも届けたいとのこと。
別府への恩返し。そして学生たちに勇気を。
プロジェクトを始めるときに学生450人くらいにアンケートを取ったんです。
“別府での地域活動に興味があるか”とか、”地域活動について考えたことがあるか”とか。
約75%が”ある”っていう回答だったんですけど、肌感はなくて。
実際行動している人なんてほぼいないんですよ。
それって拠点がないから行動に移せていないんじゃないかって思って。だから拠点を作る。僕がこれをカタチにすることで、大好きな別府に恩返しをしたいんです。
そしてプロジェクトの成功が、後輩や次の世代への希望になればいい。
「わからなくてもとにかく始めていいんだよ」っていう。
それこそここのコンセプトじゃないですか。
“やりたいことをやる、実現していく”。自分がその第一号として、身をもって証明できればいいなと思います。
コミュニティスペースという拠点を作ることで、多くの学生と地域の繋がりが紡がれていく。
そこで果敢にチャレンジしていく学生たちの力が、やがて別府の力となっていく。
ヒョンジさんは学生たちが別府で学んできたことを別府の地に還元していくことで、恩返しをしていきたいと考えているのです。
様々な思いが込められたコミュニティスペース。
一体どのようにデザインされていくのでしょうか。
たくさんの学生が集う、明るく開放感ある空間へ
ついに今月から動き始めるリノベーション。
そのイメージについてヒョンジくんに尋ねてみました。
今はみんなで話し合いをしながらイメージを固めているところなのですが、日があまり当たらない家なので、学生たちを迎え入れるエントランスとなる1階は、真っ白で明るい空間に。奥の部屋は木の暖かいイメージを出してログハウス風に。
2階は作業スペースになるので、北欧チックな落ち着いた空間にできたら良いなと思っています。
今月中旬からは、思い描いていた空間をいよいよカタチにしていきます。
新学期が始まる4月9日に合わせてオープン予定のコミュニティスペース「ギルド」。
どのように作り上げていくのか、次回はリノベーションの様子をお届けします!